IRISデータラボ株式会社は、日本郵政キャピタルをリード投資家として、プレシリーズAラウンドの資金調達を実施したことを発表しました。
同社が提供する「Atouch(アタッチ)」は、LINE公式アカウントを活用し、LINEトーク内で商品決済から配送手配までを完結できるECソリューションです。ユーザーがECサイトへの遷移やID・パスワード入力なしで購入できる利便性が特徴となっています。

今回調達した資金により、IRISデータラボでは、デジタル会員証・チケット販売・サブスクリプション機能などを拡充し、より多様な業種への対応を進めていく計画です。Atouch ID(共通ID)による店舗・サービスの横断連携や、ギフト機能などの販路拡大を見据えた機能開発にも取り組みます。将来的には、購買データや行動履歴を活用したパーソナライズド提案・マーケティング支援など、スーパーアプリとしての進化も目指しています。
日本郵政キャピタル投資部門ディレクターの小倉祐太氏は「Atouchは、特に日本郵便の取引先のバリューアップに貢献できるソリューション」とコメント。従来のECサイト構築の民主化はウェブベースが多かった一方で、LINEによるサービス販売チャネルの重要性が増している状況に触れ、「LINEトーク内で決済が完結することによる、カゴ落ち問題の改善はAtouchの強み」と評価しています。
IRISデータラボの代表取締役である安達教顕氏は「『Atouch』は、LINEを活用したコミュニケーションとECの融合を、誰にとっても"直感的"かつ"すぐに使える"形で提供することを目指してきました。今回の資金調達を機に、さらに多くの現場での課題を解決し、社会にとってなくてはならないインフラへと成長させてまいります」と述べています。
IRISデータラボは2020年よりLINEヤフー株式会社と協力して政府や自治体向けにコロナ対策のLINE公式アカウントをサポートしてきた実績があり、経験を活かして2022年10月に「Atouch」をリリース。2024年度にはデジタル電子チケットの販売やライブコマース機能「Atouch Tig」を導入するなど、機能拡充を続けています。
小売業界では、ECサイト構築の重要性が高まる一方で、LINEなどSNSを活用した販売チャネルの多様化も進んでいます。特に「おばあちゃんでもできるネットショップ」をコンセプトに掲げるAtouchのような直感的に操作できるツールは、デジタル化が遅れている小規模店舗にとって導入障壁を下げる効果が期待されます。今後、実店舗とオンラインの連携強化や、購買データを活用したパーソナライズ提案など、小売DXを加速させるソリューションとしての展開が注目されるでしょう。